会えますよ。
私が連れて来ましょう。
だから貴方は笑っていなさい。
お母様も、貴方の笑みを見ていると元気が出ると言っていました。
ジークムント殿も野茨公も、きっとそうなのではないですか。
……私には理解できませんけれど。
[彼の母についての話は偽りだ。
もしかしたらそんな話をしたかもしれないが、そんな昔のことは覚えていない。
記憶に残るのは幼き子が母の後ろをついて回る姿、懸命におつかいを遂行しようとする表情、浮かべる笑み、薬屋さんと呼ぶ声。
――彼ならば、人間も魔も関係ない世界を造れるのではないかと、そんな馬鹿げた夢を一瞬でも抱いた過去の自分も。]