酒? あぁ──…[直近で思い当たる酒といったらひとつしかない。成る程。ともう一度呟いてから、焼き菓子の封を切った。甘く素朴な香りが鼻腔をくすぐる。口に放り込めば、さくさくと小気味よい食感がして、仄かな安らぎを残して消えた。] 早く全部終わらせて、妹たちとお茶がしたくなるねぇ。[『だったら頑張ってくださいよ』と直近の部下に言われて、「…うん」と笑った。*]