― 天翼の領域 ―
[最初に目に入るのは、空。
それから、頬を撫でる風の感触。
炎の灯る平原から一転、移動した先は空中に浮かぶ岩場の上だった]
……さすがに、奇襲はない、みたい、だけど……。
[最初の転移の時と違い、移動直後に何かが襲ってくることはなかった。
代わりに頭上から降り注ぐものがある。
それは、異様な圧ともいうべきもの。
怒りの念を向けられている、との理解は、騎竜たちの方が早いかも知れない。
きゅう、と気づかわし気に鳴く白銀を制して、青年は上を――圧を感じる方を、見上げる。
そこにあるのは羽毛に包まれた六翼の、竜。
そしてその周囲に付き従う、一見すると天使のようにも見える有翼の戦士たち]
……思ってた以上かも、これ。