[それなのにこうして我が一族に怨恨の鎖が絡みついているのは、彼の兄のように、好奇心に駆られる者が多くいるということだろうか。] ……馬鹿馬鹿しい。[冷めた声で呟いて、伸ばした指を振って見せた。傷一つないそこからは、赤の一片すら見ることは叶わない。けれど皮膚一枚隔てた向こう、無意味な毒は、確実に存在しているのだ。開いた手を握り締め、手のひらに爪を立てる。裂ける寸前、血が滲む前に力を弱めると、四つの赤い痕だけが残った。]