[ 大きく抉られるように、噛み砕かれる音がして。
食いちぎられる右腕。
夥しい量の血が噴き出し、周囲を赤に染める。
呻き、苦悶の表情を浮かべるガートルード。>>124
だくり、冷や汗が噴き出したかのような
顔色悪く、血がどんどんと失われていることが分かって。 ]
っ、ガー……ト……っ、
[ 名を呼ぼうとして、詰まる。
もう、赤い聲は、静寂を保ったまま。
食い千切られた痛みが、理性を凌駕し。
ちかちかと脳内で憎しみと怒りが、湧き上がっているなと知れず。>>126
―――……全てを、滅ぼしてしまいたい!!
と、内なる獣が、吠えているとは知らず!
代弁するかのように、
ガートルードの瞳に緋色が灯る。>>127
あのときの、兄と同じ、緋色が! ]