[彼の声を聞きながら、人を助け、救う手と言われ>>105、ナイフを握ったままの手を眺める。一人の少女>>2:388さえ、目の前の青年《ソマリ》さえ、満足に助けられないちっぽけな手だ。鋭い爪が、人を殺すための爪がついた恐ろしい手だ。握ったナイフの重さに、枯れ、朽ちてしまいそうな手だ。それでも……。ひょっとして。もしかしたら。"救う"ことくらいは、出来るのかもしれない。そんなことを考える。]