[今もあの時の光景がありありと思い出される。小隊は壊滅状態となった。それもそのはず。小隊長と男を除く兵士全員が作戦によって命を落としたのだから。冷たい雨が暗い空から落ち、身体は冷えていく。水はけの悪い大地に溜まる雨は赤く染まっているんだろうが暗くてそれも分からない。俯いたまま立ち尽くす己を包むのは達成感よりも罪悪感。はげしく鳴り止まぬ鼓動の中上からゴツゴツとした手が降ってきて優しく頭を撫でた。]