[その時のペーターは、自分の身体を支配しているのは自分ではないように感じていた。震えていなかった。怯えもなかった。ただ「そうしなければ」という、使命感とでも云うべき奇妙な感覚が全身を支配していた。ーー父や母や親族の人間は、それを「正義の血」と呼んでいたペーターは一つの絵をとった。見るもおぞましい、真っ赤な絵]パメラさん、これ……何の絵?