― 魔獣の領域 ―
……さて、それじゃそろそろ行こうか。
[先を考え、各自が十分な休養を取った、と判じた所で声をかける。
伏していた巨狼が『行くのかー?』と問うのには頷きで返して]
俺も、あんまり長くはいられないしね。
『ま、そりゃそーだ』
[軽口めいた言葉を交わした後、ぽふ、と巨狼に手を触れる。
巨狼は返礼のように尻尾を動かし、ぽふっと青年の頭を軽く撫でた。
それに僅かに目を細めた後、青年は平原の奥に灯る黒い光に向けて歩き出す。
それが次階層への門であるのは、先の事を思えばすぐに思い当たるか。
触れた直後に感じるのは、転移の感触。
それを越えた先に広がっていたのは]