― 洋上の海賊船 ―[いつの間に移動したのか、意識はしていなかった。気づけば、足元は石の床から木の板に変わっている。湿った風が親譲りの赤みがかった髪を吹き散らし、煩わしく前髪を払ったところで、甲板に立つ人影を見つける。] あれ―――[シルエットは、女性だ。]