[アデルには癒しの力がある。創を省みぬクレステッドと残すに相応しい。] と、言うよりも。 二人に人探しが出来るかと言う所だがね。[独り言を舌の上で転がし、蔦の張った痕跡を追う。幹ほどある茨を軽やかに飛び越えて、聖女の力を手繰りだす。アデルとユーリエの位置だけは、空ろげながら理解出来た。] 君には茨を焼いて満足してもらう訳には行かないよ、ユーリエ。[靴裏が石畳を踏んで、強かな男が動き出した。]