[やがて傷の痛みは消え、火傷の痕もそれとわからないほどに回復した。
言われるがまま指を動かしてみれば、引き攣れを感じることもなく動かせる。
鬼族どころか、並の治癒士でも、短時間でこれだけ治療するのは難しいだろう]
あ、あの……ありがとう……。
[まだどこか惚けたような声で、小さく礼を言えば、相手からは満面の笑みを向けられた。
そこに、今更思い付いたように問い掛けられて>>120]
その、……修行中だったんだ。
将来のために、少しでも強くなっておきたくて。
[言いながら、少女は無意識に右耳の石――赤から黄を経て緑へ、鮮やかに色を変える電気石に触れる。
他方、左耳には対照的に、光通さぬ漆黒の石が揺れていた*]