退屈嫌いの御主に朗報がある。
此度の選には、──
[ドヤ顔で言い放つ。
雷華が四君子として『王華の選』へと挑むのは、先代が退いて以降初めての事だ。
ガートルートは、受けて立つのみの戦を好まない。喚び出した人間を己の牙とし、争わせ勝敗を決めるこの譲葉のシステムは、彼にとっては嫌悪すら抱くものであった。
そして何より、栄華にも名声にも、さして魅力は無い。
彼は昼寝が好きで、戦が好きで、放浪が好きで、そしてそれは王などと言う面倒なものに成らずとも手に入るのだ。]
ゆえにな。心配せずとも、御主『の』千年紀は来ん。
だからまあ、なんだ。安心して──楽しめ。
[暗に己が勝つのが当然だと言わんばかりの挑発。藪に引っかかったままの男の言とは思えぬ程に、その声には迷いも淀みも無い。
無論、楽しめと言ったその言葉にも。ひと欠片の嘘も、無かった。]*