誰かは、わからない。
変身?するところとかは、見ていない。
必死で逃げたから………。
[そう言いながら、そっと耳に生い茂る葉を
指先でかさり、掴んで。
ぶちり、ぶちり、毟っていく。
しかし傷口にはビッシリ根が生えて、
傷口の形状は判別できないだろう。
だから。
更に茎の根元を掴んで、それを引き抜こうと。
痛みが走る。せっかく出来た瘡蓋を
無理やり引き剥がすようなもの。
だが、止めなければその手を止めることもなく
根が引きずり出されればそのせいで
ずたずたになった傷口から
新たな血が滴る事になるが、果たして
そこまでなされてしまったのか]
テオドール……。そう、か。
赤い花?
確かに私は赤い花も……と言うより、
様々な花を咲かせられるが。
………。