[しかし、次の瞬間……。
ぴたりと彼の足が止まる。
訝し気に眉を顰めたのもつかの間、自分の名を呼ぶ、聞きなれた柔らかい声色と変容した姿に大きく目を見開くだろう。]
……そ、まり?
[自分の目には、ガルーを押し込めて理性を取り戻したように映る。
先ほどの頭痛が、内からの叫びで引き起こされたのだと、常に自分を助けようとしてくれていたのだとは気付けないものの。
このタイミングで起こったことに、どこか直感的に感じるものはあった。
その意識が……"ソマリ"とソマリが……混じっていようとなかろうと。
いまこの場で、"カサンドラ"と、名を呼んでくれるのは……きっと。]
……おはよう、ソマリ。
[にこり、とそれはごくごく自然に浮かぶ笑み。
場違いだとは分かっていても、ホッと息を吐き、懐かしささえ覚えた彼の声を噛み締めた。]