[それでも最大限譲歩してくれるかの言葉>>86には感謝の視線を彼女へと向け。ウェルシュの”散歩”とて全くの無駄ではない。これで見えるもの、考え付いたものとてなくはないのだ。
それでも護衛も連れずに抜け出す行為が褒められたものではないのも確かで、彼女の養父辺りにでも知られようものならば、共に彼女も怒られる──或いはより激しく──ことも、想像には難くなかった。
だから素直に彼女の言葉に頷いて、そろりと静かにその場を立つ。
ディルドレと目が合ったなら、ほほ笑みを向け軽く顎を引いた。恐らくそれで、この場の礼と後日の約束とは知れただろう。王宮で会えるのならば、また後日、と。]
ありがとう、ローレル。
[そうして音にしては傍らの人へ囁いて、青年はそろりと人の輪から抜け出した。出来た隙間はすぐに埋まる。再び、歌い手への歓声が響いた。*]