[この俺に酒を飲む以外に何も出来ないだろうと言うディーターの台詞に違いないとでも言う様にアルビンは笑って頷いた>>141。
ディーターの失われた右腕。服の袖がふわりと風に踊るのがアルビンの視界に止まる>>141。
覚束ない足取りの本当の理由は察する事は出来ずとも。ディーターが戦争から戻って来た事ぐらい、アルビンは知っている。]
客扱いして欲しかったら毎回ケチらず金を出しな。
でも、……酒は色々な事を忘れさせてくれるからな。
[あくまでも、冗談を口する軽さでアルビンはそう言った。戦争で怪我を負ったディーターへの同情心を含ませた口振りではなく。
一介の行商人でしかなくともアルビンは商人だ。その様な感情を相手に悟らせるような事はしない。
それにアルビンにも酒に頼りたなった事は何度かあった。]
まあ、便利なもんだよ。