──現在・第四エリア、りんごの木──
[きっと、娘の嘘で彩られるその哀しげな色は、
あの優しかったエレンなら本当な気がした。
そうやって心配してくれるのは今でも
少しだけ嬉しくて、
けれど、彼女はそうしてかつて裏切った。
この船で一番信じてはならない存在の筈。
(本当に?)
(それなら何故、全てが終わった時に
首を差し出そうとしたの?)
(生き残れると思った?
そうしたならそれを
信じられると思った?)
(それともそれすら、自分の嘘?)
あの時の裏切り者に裏切りで返すだけだと、
そう律したい心が揺れる。
それでも、彼女の傷口を見たがる言葉に
瞳を揺らし、彼女から逸らした(>>134)]