っは、っは……
[痛みに目が眩みそうだった。
嫌な汗がジトリと滲み、ポタポタと落ちる血が留まるところを知らない。
吹きあがった血の量から、重要な血管が傷つけられたことが分かり。
いくら"ガルー"の力があるとはいえ、そう長く持たないことを悟る。
ソマリの視線がナイフを持っている手にとまったとき、嘲笑を浮かべたように見えたのは見間違いではないだろう。>>104
自由自在に扱える殺傷能力の高い爪を使わずに、爪を食い込ませ掌自体も血を流しながらナイフを使う自分への嘲笑。
それでも辞めなかったのは、ちっぽけな、ほんとうにちっぽけな意地のようなものだったから。
(化け物だと言いながらも、人間に縋りつきたい心理の表れにほかならない。)]
っ……ぐっ!!
[愉悦を含んだ笑みを浮かべて一歩、一歩と距離を詰める相手を、睨むように見据えて。>>104
ナイフを構えれば、焼けた針を差し込まれたような鋭い痛みが指先へと走り、呻いた。
けれど、退くという選択肢は毛頭ない。
例え腕が千切れたとしても、貴方を止めるのだけは、譲れない。]