[このままここにいても話は進まない。そう思った娘はやがて口を開いた。]あ、あのさ。10年前のこと、覚えてる、よね。[10年前、ヨアヒムの両親が殺された日のことを。きっと、ヨアヒムがオットーを疑っているのは、リーザに何かあるから。そう思ってここに来た。でも口を開いてすぐに後悔した。できればこんな話はしたくない。でももう引き返せなかった。]