会いに来たのに立ち去れなんて寂しいなぁ
それに、こんな簡単に手放したら意味無いやんけ
[阿呆じゃな。と馬鹿にしたようにケラケラと笑う。こちらに向ける矢尻は放たれる事は無いだろう。否、放たれた所で怖くは無いのだ。天使は、絶対に当てない。
このまま落ちても、天使が拾えるのは新郎か新婦のどちらか。それに、人を見捨てて魔族を狩るような天使が祝われる2人を見て寂しそうに、愛おしそうに見るわけが無いのだから
宙に放り出した天使は思ったよりも軽く。放り出すというよりも、地面に叩きつけるような形になってしまったか。その程度で息絶えるようならば、この場に居る人間全てを殺してから新しい恋でも探しに行くつもりだったが。
どうやら、そういうわけでは無いようだった。派手な自分とは違い、亜麻色の頭髪、琥珀の瞳の彼女は地面とよくお似合いだった。
そして目が眩む程眩く、綺麗な水色の羽根が地に付く瞬間は興奮すらも覚える。
例えば、完成された絵があるとしよう。綺麗で、誰の目も奪ってしまうようなそんな絵。それに合わぬ色を付け、ぐちゃぐちゃにペンキで汚す。そんな背徳的な快感を得てしまった。]