[ 男の命に従い、連なっていた荷馬車の幌が、次々と外され、その中に身を潜めていた「鳥使い」と呼ばれる者達が、一斉に各々が使う鳥達を空に放つ。
鷹を始めとして、鷲や隼といった猛禽達は、その全てが足に長い腸詰め肉に似た姿のものを掴んで飛んでいく。
だが、腸詰めの中に詰まっているのは肉ではなく液体の油だ。
橋の向こう、押し寄せるアンデッドやコボルトの群れ目指して空を駆ける100羽を越える数の鳥達。
人間の将であれば、それが異様であると気付くだろう。けれど、同じ空に在っても、人を狙う死霊は、獲物を運ぶだけの鳥に恐らく興味は示すまい ]