[躊躇いもなくこちらへ近付いたその人物は、少女の手を取ると、もう片方の手をかざした。 驚きで動けずにいる間に、癒しの力を持つ水の輝きが、深く火傷を負った少女の手を包む。 清涼なる力が流れ込めば、傷の痛みは見る間に和らぎ、思わずほう、と息を吐いた] そんな、アタシは、強くなんか。[気性の激しい鬼族は、鍛錬も苛烈だ。 その中で、しかも『柱』候補として育ってきた少女にとって、その評価は思わぬもので。 思わず戸惑いに瞳を揺らす]