IF
わたしが彼女を拾ったのは、本当に偶然だった。
毛布にくるまれた状態で籠の中に入れられ、泣くことも動くこともせず、スンと澄ました表情で空を見ていた。
覗き込んだわたしが彼女の顔に影を作り、そこで彼女は初めて声を上げて泣いた。
籠の中にはヨレた手紙が一通。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
そう書かれているだけだった。
捨て子か。獣に食べさせるつもりだったのだろうか。しかし綺麗に整えられた彼女の姿は、誰かに拾われることを待っているように見えた。
わたしが籠を持ち帰ると、村の人は何を収穫したのだと聞いてくる。わたしが籠の中を見せてやると、人々は驚いた。
「わたしの孫だよ。」
彼らはそれ以上何も聞かなかった。