人狼物語−薔薇の下国

533 R【P】村2


墓守 シメオン

IF

わたしが彼女を拾ったのは、本当に偶然だった。
毛布にくるまれた状態で籠の中に入れられ、泣くことも動くこともせず、スンと澄ました表情で空を見ていた。
覗き込んだわたしが彼女の顔に影を作り、そこで彼女は初めて声を上げて泣いた。
籠の中にはヨレた手紙が一通。

「ごめんなさい。ごめんなさい。」

そう書かれているだけだった。
捨て子か。獣に食べさせるつもりだったのだろうか。しかし綺麗に整えられた彼女の姿は、誰かに拾われることを待っているように見えた。


わたしが籠を持ち帰ると、村の人は何を収穫したのだと聞いてくる。わたしが籠の中を見せてやると、人々は驚いた。

「わたしの孫だよ。」

彼らはそれ以上何も聞かなかった。

(141) 2020/03/09(Mon) 20:45:34 (ウリア)

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