―城の一室―
[ローレルは、吸血鬼には違いないと思うのだが。
ならば屍にあれほど生理的嫌悪を催すだろうか。
それよりも彼女の示した拒否反応と台詞は、何か思い出したくない過去を暗示しているようでもあった]
……お水、取ってきます。
[少女に寝台で休むよう促しつつ、
にこりと笑って洗面台の方へ足を向ける。
おそらくはその場にいるタクマへ、一度頭を下げて。
――些か、情報を得るために視野が狭くなっていた。
此れでも反省はしている]
おや。
[棚を開けると、コップなどと一緒に見覚えのある小瓶。
クロイツが置き土産にくれたのと同じものだ。
罠がないか警戒した後、それを拾い懐へ納めた]