― サクソー川/橋の北側 ―
[ 数を減らしながらも、尚諦めず歩兵達はじりじりと南へと進もうとする。
騎兵の中にも、取り囲まれて馬から落とされ、或いは、勇気を振り絞って槍を突き上げた歩兵の一撃に絶命する者も居た ]
「押し返せ!オクタヴィアス様を迎えるまで、ここを突破されるわけにはいかん!!」
[ オクタヴィアスの名を聞けば、同時にツェーザルの最後の叫びが本陣を護る歩兵や弓兵の胸にも蘇り『おおっ!』と雄叫び上げ、騎兵と共に南へ動く敵兵の、壁のような群れを押し戻そうとする。
混戦を抜けだして橋へ取りつこうとするものがあれば、身を呈して組み付き、組み合ったまま土手を転がって川へと雪崩落ちる者も在る、弓兵は、友軍の騎兵を取り囲む動きを見つければ、その囲みを破らんと矢を集中させた。
押し戻し切るには至らない。けれど敵が進んだと同じだけは、如何にしても押し返す、拮抗するのは丁度、ツェーザルが、立ちふさがったその一線だ* ]