― ある夜に ―・・・コツン。[自室の窓に軽く当たる小石の合図を耳にして、青年は明かりのついていない自室の窓から顔を覗かせた。そこに待ち望んでいた人の姿を見つけて、嬉しそうに微笑む。] ”すぐ行きます。”[唇の動きだけで伝えると、最低限の着替えと手持ちのお金(家にあるものには手をつけていない。)だけを入れた肩提げ鞄だけで窓から外に出た。]