海は良い。
波は全てに平等ですからなあ。
[こうした薄汚い暗殺計画とも、また無縁だ。
胸に溜まった苦々しさを紛らわせるようにして笑った。
そうして少年の祖父、モルトガット皇帝にことを知らせる。
敵だった。いや、じきに敵となるべき相手であった。
だが男にとって打ち破るべき敵は海上にあり、決して卑怯に暗殺されるべきものではなかった。]
艦上までご無事にお帰りあれ。
[だからそう告げて彼らを逃がしたことも、また、後日その艦隊を容赦なく打ち破ったことも男には当然の行動だった。
その後本当に結ばれた講和の席に、再び少年を見ることはなかったけど。]