[ 服に張りつく質量を感じて、とっさに上着を脱ぐ。
ブラウスの胸元は当然、平坦だ。
脱いだ上着を頭上で高速で振り回し、傘代わりにした。
見る間に重くなるが、そこは《ウル》の力で、動きを止めない。
こうしている間は、粘質雨を避けられるけど、踏み出せば足を取られてしまうだろう。
歩けなくはないにせよ、動きは相当、鈍くなる。]
…見事です。
5年の間に、これほど魔法の腕をあげたとは。
[ 正統派のお嬢様だったフレデリカが、この状況まで街に残って帝国軍に立ち向かうなんて、ホントに成長したものだと感嘆する。
それと同時に、純粋な果敢さには誰かさんの影響もヒシヒシと感じた。]