[空気を割く音は僅か。声を封じる為にと迷う事なく喉を潰すと、壁にとりついた仲間の後を追いサシャもまた壁を登る。上方を支配出来れば、弓の優位性は俄然と高くなる。扉を開ける先陣らを補佐するように、壁の一番高い所を抑え片膝をつくと、頭上から味方の足を止めぬよう、当てぬように注意しながら矢の雨を降らせた。]ッ、はい ご![それを知ってか途中、壁を登ってか近づいてきた兵は蹴り落としながら、砦が鎮圧されるのをサシャも待つ。それは長い様で、短い時分の出来事だった。]