こうして感傷に浸りすぎて我々冒険者が動けなくなる前に、なんて配慮なのかもしれないがね。
私は故郷に戻ろうと思っているよ。
鍵開けや罠抜けの技術や、様々な鍵開けの道具を作って暮らすのも悪くない、かもしれないからね。
だが、そうなるとこの国にはまた暫く戻れなくなるからね……。
[男の故郷は海の向こうです。
港町まで出て、そこから更に船に乗り向かう西の土地。
ただ、故郷の兄弟たちを思うと少しだけその視線が下へと向けられました。
だって、男の実家は盗賊家業なんてしていませんもの。
冒険者とはいえ盗賊として生計を立ててきた自分は彼らにどんな目で映るやら、今から不安と言えば不安です。
けれど今は女性の前。
気を取り直そうとグラスを干してから、改めて質問を向けました]
君は、これからどうするつもりなのかね?
また新たに旅に出る、そんな話も他の客からは出ていたが。