― 幼い頃 ―
[オットーと二人してある遊び場で遊んでいたら、「おにいちゃん」のアルビンが後からやってきました。
一緒に遊んでくれるのかと思ったら、彼は険しい顔でわたしたちをどなったものです。>>116
自分のしたことが悪かったと気づいた訳じゃなく、アルビンの激高のあとの、こちらを心配するまなざしと撫でる手の優しさに、突然涙があふれてとまらなくなったものです。]
けが、ない、……ごめんなさぃ……
[そりゃあ行く道はすこし怖かったけど、楽しんでいたもの、オットーはわたしに謝ることなんかないわ。>>123
そんな言葉がすらすら出てくる訳も無く、口の中の飴玉>>118 を転がして、腫れたまぶたをしぱしぱと動かすだけの幼いわたし。
でも、すこしうれしかった。
『わるいこ』でも、心配してくれる人がいるということに。
――思えば、わたしはこの時から少しずつ、読書を姉から学ぶようになりました。言葉を覚えれば、自分の気持ちを正しく伝えられるのかと思って。
アルビンとオットーの約束も、ただ黙って聞いていました。>>119>>124>>128
飴玉の味は、もうすっかり思い出せません。*]