[そして、オットーと話す「あの事件」(>>138)のこと。
自分はまだ見ていない、流れ着いた死体についても噂になっている事を今やっと知って。
オットーの表情に見えた影は、はたしてランプの明かりがもたらしただけのものだったのだろうか。
その表情には、軽く寒いものが感じられて。
彼は言う。人狼は確かに居たと。]
……悪ぃけどな。御伽話に出てくるような奴のこたぁ、俺はこの目で見るまで信じねえ。
[ここだけは、自分の思いとして線を引いておいて]
ただな。
……アンタのその目ぇみりゃ……ただならぬことがあったってことは、解る。
[至って、真剣に。……そして、言葉を続け]
……人に化けられる狼と、ただの人間。
ほんとに怖ぇのはどっちか……俺にゃよくわからんしな。
[オットーに聞こえるかどうかは興味ないとばかりに、意味深に、小さく呟いた。
嵐の前の空気がそうさせるのか。一瞬だけ、ディーターの目に冷徹な光が見て取れたかもしれない。]