[駆け寄ったカークに大丈夫だと返し、"彼"に向き直る。
さてね、と半ば、諦めたような、それでいて、状況を静かに見守るような声色に、ぐっと眉を寄せた。
"彼"が語る言葉は、カークに向けてのことだったのだろうか。
それとも、"シメオン"に向けての言葉だったのだろうか。
エレとダーフィトを殺したと告白する"彼"は、まるで、カークに殺されるのを望むような響きだった。
カークに"シメオン"を殺させようとするかの響き。
それに気づいた瞬間、ぎゅうっと、心臓が、張り裂けそうに痛む。]
……それだけは……ダメだ!
[考えている間も無かった。
おおきく一歩、シメオンに、近づいて、にこりと笑う。
引き攣るような、不格好な笑みだったかもしれないが、それでも。]
ばかだなぁ……そう言ったって、心配するんだって、言ったじゃないですか。