― 南門 ―[呆気ないものだった。魔が手を出すまでもない。突然の暴風の如くに舞う赤紅、それが陽の落ちる薄闇の中、更に濃い赤を一面に散らし行く。>>137戦場に狂乱を齎す鮮赤の舞。それはかの魔戦士に似るようでいて、それより一層軽やかに残酷なほど美しくもあるようだった。それを魔は満足げに眺めやり、一人僅かに口の端を引き上げた。]中もなるべく穏やかに進みたいものだけどねえ。ああ、少しお待ち。