[自分の事情を問われれば。]
……俺も、ね。
アデルさんと似て、大切な兄を病気で亡くしたんです。
今度の宇宙連邦総会で、その病気の対策が、議題にあがる。
だから、警備として参加するために、です。
兄の為にも、兄と同じ病気で苦しむ人を無くすためにも、
どうしても――…その議題を、通したくて。
[それこそ―――…命や人生を懸けてでも。
変わらぬ決意に、ぎゅっと唇をかみしめてから。
アデルが何やら微笑まし気な様子が、
いつも言うことを聞かない猫っ毛が、いたずらな仔猫のように、
ぴょこんと跳ねているせいだとは、気づかぬまま、
きょとん? と首を傾げた。]