― 回想/第三隊配属の頃 ―
本日より配属されました、ウルズ・アイグル少尉です。
よろしくお願いします。
[様々な手続きを経て帝国軍に入隊した後、まだ板についていない敬礼を向けた先には、当時第三隊の指揮官に当たるロットケン海将と、彼から着いて学べと紹介された、当時同階級だったロー・シェンだった。
慣れぬ土地と環境に、子供の頃に見せた警戒心をふたたび抱え、それを解いてくれた幼馴染も居ない生活は息苦しさを感じるものだったが、同僚に当たる男は新兵の扱いが上手かった。
少ない言葉で的確であり、軍人然とした風は学びやすく、また純粋な帝国人でない容姿は安心できるもので。
階級が同じだった事もあり、次第に口調から硬さは抜けてゆく。
それは極自然な事だったが、一つだけロー・シェンという男の事を見誤っていた事があった。]