─酒場内、カウンター席から─>>138>>139カサンドラ
ああ、失礼。私はクレメンス。
君の噂はほんの少し……私もここにいて長いからね。
[名前を思い出してもらえないのも無理はありません、自分もまたかつては勇者のパーティにいてここには長く訪れていない期間もあったのですから。色々あって打ち切られましたけれども。
ですから改めて彼女に名前を告げました。カウンターテーブルにグラスを置いて、頬杖をつきながらその横顔を見守ります]
常連もそうだが、ここは多くの冒険者の始まりの場でもあるからね。
出会いと別れの酒場。ここの他にもあるのかもしれないが……。
ここに集うような冒険者たちが次に何をすべきか決める前に、一番先にここが失われてしまうのは確かに残念でならない。
[男は静かに頷きます。
勇者とパーティを組む前、自分も駆け出しだった頃。そんな頃もここが起点、始まりでした。
その場所が無くなってしまうのですから、寂しさもひとしおです。
少しだけ目を細めて、けれど目を閉じては頭を軽く横に振りました。
感傷に浸っていても立ち止まってしまうだけです]