…違うならば。
王宮内に残る軍兵に伝令し、君も正門を守れ。
いかな理由を盾にしているかは知らないが、
王宮に兵を向ける行為は反逆である。
兄上が戻られるまで、この場は我らが守らねばならぬ。
分かったな? 行け!!
[短く命ずれば、彼女も敬礼を返そうか。
そうしてウェルシュもまた、慌ただしく部屋を出た。
護衛の為つけられていた近衛兵の姿は、今はない。
傍らにリヒャルト・ラバルの姿があれば、ちらと彼を見遣った。
アイリ・フォールデンは彼の婚約者であったはず。先に王の間でフォールデンが口を差し挟んだ折、取成すように言葉>>3:168をかけてきたのは記憶にも新しい。……けど。]