[夢の中で人形を作っている。
茶の髪、緑の瞳、幼い少女の人形。
それは、まだ人形を売り始めていた頃の注文だった]
[やはり人形を作っている。そして頭を抱えている。
黒い髪と黒い双眸の男の人形。
どこか人の世を疎むような暗い影を背負っている。夜に見たら怖い。
お年を召した依頼人から事細かな容姿の指定があって苦心した]
[また人形を作っている。でも、現実で作ったことはない。
複数の目がぎょり、白いマフラーで首をきゅっと締められ、胴体は不気味に捻じれ、手足はちぐはぐで人間として作りも可笑しく、怪物としか言えない人形。
夢が暗示するのは自分自身への憎悪]