― 個室前廊下 ―[赤に濡れた指先を含まれ、唇裏のやわらかな粘膜の感触を擽るように薄くなぞり。抜き出した濡れた指を自己の唇へ、濡れた跡をひと舐めしてから零れさせる。血の味がするという赤い髪――本当に血の味がするのか、ソマーリュの口腔が血生臭いのか。などと浮かべたけれど、その両方かもしれないと自己完結し。"狩りを" 一瞬、昨夜皆が獣の血を啜って凌ぐだなどと話していた事が過ぎる辺り、男の脳は未だ、カシムの血に良い思考が上手く働いていなかったのかもしれない。]