『それじゃな、俺はそこらで食料をちょろまかしてくる。お前さんもうまくやれよ、兄弟』
[ 魔王軍では人間の食の嗜好など、大して気を払われていなかったから、久々に人間らしい飯が喰えるだろうと、すっかり根源的欲求に気を取られ、男はそのまま宵闇迫る陣営のどこかへ身を晦ませていった ]
『あっ!』
[ そうして、その男と入れ替わるように、少し離れた場所から、驚いたような子供の声が届く。
ディークが視線を向けたなら、見覚えのある子供が、素早く身を翻して陣営の裏手、まさに先程の男が言っていた荷置き場の方へと駆け去って行くのが目に入った筈だ// ]