[抱きしめたい衝動を抑えながら、笑顔で答える。]
わたしも、君と一緒に食事ができて嬉しいよ、ユーリエ。
おや、ユーリエも噂を聞いたのかい?
どうやら、どこもその話で持ちきりのようだよ。
人狼、ね。
墓が荒らされた形跡も、爪痕や足跡なんかもまだ村では見つけられていないんだ。
しかし、きっと人狼は現れてしまう。
もしかしたら、完璧に村人に化けられる狼が存在するのかもしれないね。
……いいや、こんな話ではせっかくの食事も、楽しめなくなってしまうな。
何か、明るい話題を……
そうだ、カレルから、素敵な仮面を貰ったんだ。
なんでも、「幽霊が触れることのできる仮面」だそうでね。
わたしには、少し小さかったのだけれど、
わたしたちの子供に、という話になってね。
正確には、「わたしたち」とは言っていないんだけれど。
君のことがふと浮かんでね…
あ、うん、この話題も違うな。
少し、緊張しているみたいだ。
君が目の前にいて、周囲の人から注目されているから、なのだろうね。
[…はグラスに注がれたワインを呷った。]