[ ── 兵器『ラグナロク』
噂で、聞きかじった名前。
『神々の黄昏』などと大層な呼び名だと、そのときは嗤ったけれど。
宇宙海賊を一掃させる兵器だと、そう聞いたときは、藍玉の瞳に剣呑な仄暗い光が灯る。
風の内戦で、疲弊した星々。
それはきっと、故郷と到底呼べるものではないウルズにおいても例外ではないだろう。
それでも。
滅んでしまえばいい、あんな星なんて。
だから、ナネッテは、アースガルドへと『兵器』を運ぶ。
この船の "操縦士だから" と、"任務だから" と、なにも見ないふりをして。 ]*