どうしても叶えたい夢があって、この【夢見の村】へとやってきたが……見てのとおり、俺は人間ではない。取り合っても貰えなかったよ。
【だから、俺はすぐに追放されるだろう。】
…だがな、どこからともなく現れた女が言ったんだ。
[いいわ、貴方はこの狭間の世界で案内人をしなさい?青の世界までの案内人。そのために、貴方に仮初だけれど、人間の身体を与えてあげる。…そうね、この世界に迷う者がいなくなったら…そのときは貴方の願いを叶えてあげるわ。]
細い細い可能性。
諦める訳にはいかなかった。
[リィ…待っててくれ。俺は必ず人間になる。そして、お前を治してやるから。]
フランツは首に回った赤い首輪をそっと触り、…そう呟いたのだった。
…どうやらまだ俺の仕事はないらしい。
[フランツは、ブルブルと身体を振って、犬へと戻った。]
(人間の姿は…少し疲れる。)