― 少し先の話/学校跡地・中庭 ―
[銃声が聞こえても、走れないので到着はジェフロイがカサンドラを抱え駆け出したのより後となってしまった。
最初から話してあった数人以外の部下にはカサンドラを「裏切り者」とだけ伝えてあった。細かく説明している時間もなかったからだが。
それを訂正していなかった結果の出来事に眉を寄せる。
傾いたベンチに残る色は、まだ、緋かった]
……いつまで呆けている。
[まだ銃を手にしたままの部下に近寄ると、頬を軽く張って意識を戻させる。若い兵だった。自分を誤魔化すことも知らないような、朝令暮改もある命令を追いかけるだけで精一杯の世代。
裏切り者と聞いたのに手の一つも縛られていない、それが不安だったのかもしれない。バレッタを付け直す仕草>>629すら怪しく思えてしまうほどに]
大佐が問わないと言われたのなら、この件でお前に責はない。
会議が終わればすぐに次の作戦へと入る可能性もある。
それまでに銃を整備して、意識を入れ替えて来い。
[やるべきことを与えてその場を去らせる。
遠巻きにしている者達に見えないよう、そっと溜息を吐いて。
救護室には向かわず出てきた教室へと戻った*]