[この数刻の間に少しずつ分かってきた「獣の身体の動かし方」「獣の言葉」。ヒトの姿であるときにできることが今もできるかはわからないけれど。
試してみないことには結果は分からない。
どちらにせよ、このままではいつ殺されてしまうかわからないのだ。何か行動を起こさなければ、その時はきっと早まるばかり。
ならば、足掻くだけ足掻いてみなければ。
きっと元老共もそれを望んでいるのだろう。]
ぴぃ、――――――。
[金糸雀は囀った。
歌は何処か神秘的な響きを帯びて、中庭全体へと響き渡る。
中庭の外の何処まで届いたかは分からない。
金糸雀が人の姿であったなら、それはきっと「呪文」として他者の耳に届いただろう。]