― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ―
っつぅ。
[キィン、と先程より甲高い金属音が鳴り響いた。
キアラの体重移動を感じ取ったトルメンタは心得たもので、斜めに体を傾けて槍の勢いを軽減する。でなければ曲刀も明後日の方へ弾き飛ばされてしまったかもしれない。それでも軽く手が痺れる。
相殺しきれなかった風は対処のしようがなかった。ザックリと襟元を切り裂かれる。
裂けた服の間からは、二枚のコインが顔を覘かせた]
距離、払って!
[距離を取りたい。だから風竜の動きを鈍らせるために振り払って。
短い言葉で意思を通じ合わせると、氷竜は斜めになったことで前に出た腕を、白竜の横腹へ向けて横薙ぎに払った**]