― 『澱み』の集う場所 ―
[その場所が異常であるのは、近づくにつれてはきと感じられた。
潮風の心地よさは損なわれ、澱んだ気配がひしひしと押し迫ってくる。
これ、うっかりしてると飲まれるかも……などと思った矢先、進む先に何かが見えた]
え……なに、あれ。
[そこにあったのは、鈍色の巨大な――卵を思わせる形の何か。
それはうぞうぞと蠢き何かを形作ろうとしているかのようにも見えた]
『あれが、『澱み』ですわ。
今のところは、ああやってうぞうぞとしているだけなのですけれど……相当な力が集っているのは、感じられるでしょう?』
[精霊力や魔力を手繰れる者であれば感じられるはずだ、という水霊の言葉の通り。
そこにあるのが純粋な力の塊なのは理解に落ちる]
で、あれをどう……。
[どうすればいいの? と問う声を遮るように、海面が揺れた]