[その後も暫く会話しただろうか。
連絡先を交換した後、一足先にメイン・サロンを出た彼を笑顔で見送ってからも、自身はもう暫くこの場に止まっていた。
思い出すのは過去会った印象深い乗客のこと。>>54]
[船内勤務時代の3,4年前。まだ新人と名乗れた頃。
異国情緒溢れる出で立ちの乗客に、展望ラウンジの近くで星について尋ねられたことを思い出す。
着用していた衣装は確かル・ウルタールという星のものだっただろうか。
珍しい衣装の実物を見たのは初めてで、無自覚のまま好奇の眼差しを向けていたかもしれない。
尋ねられた内容は見える星についてだったのだが、
何時の間にやら星のことを語り出していたのだ。
色と寿命について。
寿命を迎える星があれば、新たに誕生する星も当然存在すること。
何故人が死ぬと星になると言われるのか、等。
勤務中でありながら長々と語っていたことを思い出す。